回路分けの実例集|映像・音響・配信は何回路必要?展示会・イベントの電源設計ガイド
「100V 20A×1回路だけど大丈夫?」「LEDと配信、音響を同じ回路で取っていい?」「当日ブレーカー落ちたら詰む…」
この記事では、電気が苦手な人でも“回路分け”の考え方と必要回路数の目安が分かるように、展示会・社内イベントの現場想定で実例をまとめました。
※安全に関わる結線・仮設工事は必ず有資格者・会場規定に従ってください。本記事は「発注と確認のための基礎ガイド」です。
先に読んでおくと理解が早い(内部リンク)
結論:回路分けは「落とさない設計」と「切り分け」のため
回路分けの目的はシンプルに2つです。
- ブレーカー(/漏電遮断器)を落としにくくする:負荷を分散し、余裕を作る
- 原因を切り分けやすくする:トラブル時に「何を落とす/残す」を選べる
とくに映像系は「落ちた瞬間に信用が消える」ので、回路分け=保険です。
まずこれだけ:回路分けの超基本(映像・音響・制御は分ける)
初心者でも失敗しにくい“鉄板”はこれです。
- 映像(LED/モニター):可能なら単独回路(最低でも他の重い負荷と分ける)
- 音響(PA/アンプ/スピーカー):別回路(ノイズ・ハム対策にも)
- 制御・PC・ネットワーク(配信/スイッチャー/ルーター):別回路(落ちたら全停止なので最優先で守る)
迷ったら「止めたくない順に別回路」で考えると、構成が決まります。
必要回路数の目安(早見表)
会場でよく出る「100V 20A」の回路を前提に、ざっくりの目安です。
※厳密には機材消費電力・会場規定・ケーブル距離などで変わりますが、まずはこの表で“足りる/足りない”の判断ができます。
| 構成 | 目安の回路数(100V20A) | 分け方(例) |
|---|---|---|
| モニター1〜2台+PC(配信なし) | 1〜2回路 | 映像(モニター) / PC |
| モニター複数+スイッチャー+音声(簡易) | 2〜3回路 | 映像 / 音響 / 制御-PC |
| 配信あり(カメラ1〜2台+スイッチャー+音声IF) | 3回路 | 映像 / 音響 / 配信・ネット |
| LEDあり(中規模)+配信 | 4回路以上 | LED / 制御-PC / 音響 / 配信・ネット |
| LED大規模・高輝度・長時間運用 | 要設計(会場規定・三相含む) | 会場電源担当・有資格者と協議 |
容量計算の基礎(W=V×A)が不安なら、前編の電源記事もどうぞ:
会場電源の読み方(単相・三相/回路分け/アース/漏電遮断器)
実例①:小規模(モニター中心/配信なし)
例:展示会ブースでモニター2台にループ動画、PCは1台。音響は小型スピーカー程度。
目安:100V 20A × 2回路(理想)
- 回路①(映像):モニター/分配器/必要なら簡易プレーヤー
- 回路②(制御):PC/USB-Cドック/変換機器(トラブル時に守る)
どうしても1回路しかない場合は、“モニター優先で落としたくない機器(PC/制御)を軽くする”方向で調整します。
実例②:中規模(配信あり/スイッチャー+音声)
例:社内セミナーを会場でも見せつつ、配信も行う。カメラ1〜2台、スイッチャー、音声インターフェース、配信用PC。
目安:100V 20A × 3回路(ほぼ必須)
- 回路①(会場映像):会場モニター/プロジェクター/分配系
- 回路②(音響):PA/アンプ/スピーカー(映像と分けるとノイズにも強い)
- 回路③(配信・制御):配信用PC/スイッチャー/ルーター/録画機器
ポイントは配信・制御系を単独回路で守ること。ここが落ちると“復旧が遅い”ので、最優先で分けます。
実例③:LEDあり(負荷が大きい構成)
例:ブース正面にLED、内部にモニター数台、さらに配信も実施。
LEDは内容・輝度・面積で消費電力が変動しやすいので、「最大値寄り」で設計し、余裕を見ます。
目安:100V 20A × 4回路以上(規模次第)
- 回路①(LED電源):LED本体(可能ならLEDだけで単独)
- 回路②(LED制御):送出PC/コントローラ(落ちると復旧が面倒)
- 回路③(音響):PA/アンプ
- 回路④(配信・ネット):配信PC/スイッチャー/ルーター
補足:漏電遮断器・安定運用の話(絶縁トランス含む)
会場条件によっては、漏電遮断器(ELB/RCD)の作動・電源相性・ノイズの影響が出ることがあります。
絶縁トランス(アイソレーショントランス)が対策の一つになる場合もありますが、
安全に関わるため「とりあえず噛ませばOK」ではありません。会場規定・切り分け結果・有資格者判断に基づいて設計します。
参考:相見積もりで揉めないための見方(範囲の違いが出やすい)
常設LEDの相見積もり比較ガイド
“やりがちNG”5選(落ちる・ノイズ・原因不明の元)
- LED/音響/配信を同一回路でまとめる(落ちる・ノイズ・復旧遅いの三重苦)
- タコ足連結で延長を増やしすぎる(接触不良・発熱・抜けやすい)
- 配信PCを“会場映像回路”に入れる(会場側の都合で落ちると配信も巻き込む)
- 床這い配線の養生不足(踏まれて抜ける・断線・ゆるみ)
- 会場の復旧手順を知らない(落ちた後に“誰がどこを上げるか”で時間が溶ける)
発注テンプレ(会場・制作・レンタル会社に送るコピペ)
“回路分けで揉める”のは、発注段階で情報が揃っていないことが原因です。下をそのまま送ってください。
【電源・回路分け確認テンプレ(コピペ用)】
- ・会場名/部屋名/ブース位置(図面があれば添付)
- ・用途:会場表示(モニター/LED)+配信有無+音響規模
- ・想定機材:モニター/LED/PC/スイッチャー/音響/ネット機器の台数
- ・希望:100V20A×○回路(目安:映像/音響/配信・制御は分けたい)
- ・電源位置:ブースからの距離、床/壁、延長制限
- ・会場規定:搬入申請、夜間作業、養生、使用可タップ
- ・安全装置:漏電遮断器の有無、復旧手順(会場側対応範囲)
- ・当日:電源投入可能時間、リハ時間、撤去時刻、立ち会い要否
当日チェックリスト(復旧が早くなる)
- 映像/音響/配信・制御が回路で分かれている
- 配線は養生済み(踏まれない・抜けない・引っかけない)
- 延長は最小限(タップ連結を減らす)
- 落ちた時の復旧手順(誰が/どこを/どう戻す)を確認済み
- 予備タップ・予備延長・変換・予備HDMI/SDIがある
回路数が不安なら、構成を“成立する形”に組み直します(無料相談)
会場条件(100V/回路数/電源位置)と用途(映像・音響・配信)をもとに、当日止めない構成を一緒に作ります。
電源情報が曖昧でもOK。写真3枚+ざっくり寸法があれば判断できます。
直前案件の注意点はこちらも参考に:展示会の直前レンタルチェックポイント
FAQ
Q. 100V20A×1回路しか取れません。配信は無理?
“無理”ではないですが、優先順位と構成の工夫が必要です。配信・制御系を守る設計(軽量化、負荷分散、予備系統)を前提に組みます。
Q. 音響を映像と分けるのはなぜ?
ブレーカー対策だけでなく、ノイズ(ハム)や不安定動作の切り分けがしやすくなります。
Q. LEDは何回路あれば安心?
面積・輝度・コンテンツで大きく変わります。目安は「LED電源はできれば単独回路」+「制御系も別回路」。不明なら最大値寄りで安全側に設計します。