【保存版】LEDディスプレイのピッチ選定ガイド|距離・用途・解像度の正解
「近くで見ても粗くないか?」「どのピッチが最適?」「明るさや電源は?」――視認距離×用途×画質から逆算して、最もコスパの良いピッチを選ぶための実務ガイドです。展示会/ナイトクラブ/店舗/イベントの各シーンで、失敗しない基準を整理しました。
1. ピクセルピッチの基礎:何が“見え”を決めるのか
ピクセルピッチ(mm)はLED素子中心間の距離。ピッチが小さいほどドットが細かく、近距離でも粗さが目立ちにくくなります。実務では次の3点で決めます。
- 最短視認距離(m):お客さまが最も近づく距離。
- 映像内容:写真・文字・ロゴ・UI表示なのか、抽象映像・模様中心か。
- 面サイズと解像度:FHD(1920×1080)や4K(3840×2160)を“何m×何m”で構成するか。
経験則:最短視認距離[m] × 1,000 ÷ 1,000 ≒ 推奨ピッチ[mm]
=「最短距離[m] ≒ 推奨ピッチ[mm]」を出発点に、用途で±調整します。
2. 距離から逆算:推奨ピッチ早見表(用途別)
| 最短視認距離 | 情報量(文字・UI) | 映像中心(抽象・MV) | 想定用途 | 推奨ピッチ |
|---|---|---|---|---|
| 1.5〜2m | ◎ | ◎ | クラブDJ背面、受付背面、近接訴求 | 1.5〜2.0mm |
| 2〜3m | ○ | ◎ | 展示会小間/写真映えスポット | 2.0〜2.6mm |
| 3〜5m | △ | ◎ | 壁面ワイド、店舗壁、ラウンジ | 2.6〜3.9mm |
| 5m〜 | — | ◎ | 天井面・大面積アイキャッチ | 3.9mm〜 |
※ 近距離で細かい文字を読ませる場合は、上限側を一段厳しめに(例:2mなら1.5–2.0mm)。
※ 明るい環境・撮影用途が多い場合は、ピッチだけでなく輝度・リフレッシュ・走査方式も重要。
3. 解像度の当て方:FHD/4K前提の面サイズ設計
「FHD/4K映像をディスプレイ原寸で表現したい」場合、ピッチ×ドット数=実寸で面サイズを決めます。
- FHD(1920×1080)をp=2.6mmで:横=1920×2.6mm= 4.99m、縦=1080×2.6mm= 2.81m
- FHDをp=2.0mmで:横=3.84m、縦=2.16m
- 4K(3840×2160)をp=2.6mmで:横= 9.98m、縦= 5.62m
実務では、原寸に“ぴったり”でなくてもOK。コントローラ(NovaStar/Brompton)のスケーリングで非整数でも綺麗に合わせられます。ただし文字/ロゴ中心のときは整数倍に近い方が破綻が少ないです。
面サイズからピッチを逆算する(例)
横幅W=4.0mでFHDに近い見え方を狙うなら:
p ≒ W[m]×1000 ÷ 1920 → 4,000 ÷ 1920 ≒ 2.08mm(≒2.0mm帯)
4. 輝度・リフレッシュ・走査:映像が“綺麗に見える”条件
- 輝度(nits):屋内は800–1500 nitsで十分。クラブや眩惑対策では上限ランプを設定。
- リフレッシュレート:撮影・配信が多い環境では3840Hz以上推奨。ローリングシャッターの縞対策。
- 走査方式:1/8〜1/16走査など。低走査は輝度を稼げるが、撮影でのフリッカーに影響。現場に合わせて調整。
- 色校正:Gamma/色温度/REC.709基準でのプリセットを用意。ロゴ・写真映えとステージ用でプロファイル分け。
5. 電源・熱・換気:止めないための設計要件
| 項目 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 消費電力 | 最大800W/㎡(平均同時点灯30–50%) | 200V系・専用回路・突入電流マージン |
| 放熱 | 背面クリアランス100–150mm | 背面チャンバー+常時換気、温度監視 |
| 冗長 | PSU/NIC冗長(重要面) | N+1、予備モジュール5–10% |
| 配線 | 長距離は光HDMI/HDBaseT/SDI | EDID固定・4K規格統一・ケーブル混在回避 |
6. 失敗あるあると回避策(10選)
- 距離に対してピッチが粗い → 最短距離基準で1段細かく。
- 文字が滲む/ギザる → FHD/4Kに近い解像になる面寸法に調整、フォント太さも最適化。
- 眩惑 → 上限輝度を営業用/演出用でプリセット。
- 配線長で劣化 → 延長はHDBaseT/光。中継はプロセッサ経由。
- 撮影でフリッカー → 高リフレッシュ&カメラシャッター合わせのプリセット。
- 熱だまり → 背面換気の確保、吸排方向を意匠で塞がない。
- 電源足りない → 最大/平均を分けて計算、ブレーカの余裕確保。
- パネル混在 → 同一ロットで統一、色ズレのための全体キャリブレーション。
- 点検導線なし → 点検口・モジュール交換スペース・脚立導線を設計段階で。
- 保守未契約 → SLA(4h一次対応/72h復旧等)と予備率を契約に明記。
7. ケース別の正解:展示会/クラブ/店舗/屋外入口
| 用途 | 視認距離 | 推奨ピッチ | 面サイズ例 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|
| 展示会・小間 | 2〜4m | 2.0〜2.6mm | W3.8×H2.1m(p=2.0でFHD近似) | 静止画+短尺動画/反射・照明角度に注意 |
| ナイトクラブDJ背面 | 1.5〜3m | 1.5〜2.0mm | W4.0×H2.0m(p=2.0) | 高リフレッシュ・眩惑対策・DMX連携 |
| ラウンジ/店舗壁 | 3〜5m | 2.6〜3.9mm | W5.0×H2.8m(p=2.6) | 運用は低輝度/色温度安定重視 |
| 屋外入口(半屋外) | 5m〜 | 3.9mm〜 | W6.0×H3.0m(p=3.9) | 高輝度・防水・日射時の視認性 |
8. 目安費用と運用コスト(㎡単価・工費・消費電力)
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| LED本体 | ¥180,000〜¥380,000 /㎡ | ピッチ・輝度・リフレッシュで変動 |
| プロセッサ/コントローラ | ¥200,000〜¥1,200,000 | 入力数・低遅延・Genlock |
| 架台/意匠/施工 | ¥80,000〜¥200,000 /㎡ | 下地・曲面・メンテ導線で増減 |
| 電源・配線・工事 | ¥300,000〜 | 専用回路・分電盤・長尺配線 |
| 年間保守 | 本体の5–10% | 巡回点検・オンコール・予備保有 |
| 消費電力 | 最大800W/㎡(平均30–50%) | 営業時は平均値で試算、余裕回路 |
FAQ
ロゴや小さい文字を綺麗に見せたい。最低どのピッチ?
最短2mなら1.5–2.0mm、3mなら2.0–2.6mmが目安。さらに文字を多用するなら一段細かく。
FHD/4K映像で作ってある。ピッチはどう決める?
面サイズとの積で決まります。例:p=2.6mmでFHDは約W5.0×H2.8m。小型面ならp=2.0mm帯が現実的。
クラブで眩しいと言われる。
営業用の上限輝度をプリセットで固定。白フルの多用を避け、シーン別にカーブを作ると改善します。